
Shopify Plus(ショピファイプラス)の独自機能「Wholesale(卸売チャネル)」
今回は、Shopifyのエンタープライズプランである、Shopify Plusに搭載されている機能、「Wholesale(Channel)」について解説していきます。
Wholesale(Channel)は卸売を意味しており、卸売業者などへ商品を販売する為のストア作成が可能です。
主にBtoBでの利用が対象となり、各アカウント(業者)毎に価格を設定したいマーチャントにとって利便性が高い機能となっています。
この機能は、Shopify Plus専用の機能です。
参考:Shopify通常プランとShopify Plus(ショッピファイプラス)の機能の違いを解説
同一ストアで表示する商品や価格をアカウント毎に設定
Wholesaleでは、それぞれに商品価格の設定が可能。
サイト運営者(マーチャント)はWholesaleを利用するアカウント(卸売業者)それぞれに、パスワード付きのログイン画面(ユーザーが設定)を付与します。
ログイン画面で設定したパスワードを利用することで、各卸売業者は卸売ストアで商品購入が可能となります。
卸売ストア内では、マーチャントはアカウント毎に金額を出し分けます。
ストアの設定例
・A社には10%off。B社には30%off
・30個以上商品購入したら10%off
・10%オフだが最小注文数12個~(以降12の倍数のみの注文のみ対応)
Wholesaleで設定できる機能
・ログインユーザー毎の商品・価格設定
・割合・数量ベースでのディスカウント設定
・最小注文数の設定
・最小購入単価の設定
・Wholesale用の配送料金の設定
・ページ追加
・メニュー編集
などがあげられます。
早速、Wholesaleの利用方法を見ていきましょう。
Wholesaleの作成方法
まずはWholesaleをメニュー画面へ追加していきます。
販売チャネルにて+ボタンを押し、「Wholesale」を選択してください。
Wholesaleチャネルがメニューに追加された
これでメニュー画面の「販売チャネル」にWholesaleが追加されました。
次に、ストアの設定を実施していきます。
卸売ストアの各種設定
メニュー部分の「各種設定」を選択すると、以下の画面が表示されます。ここから各種設定を行ってください。
※卸売ストアの詳細を設定
上記ページでは、以下を設定します。
・卸売店の名前
└ストアTOPに表示したい卸売店の名前
・ドメイン
└接続したい、サブドメインのURL
・卸売店のメール
└登録用メールアドレス
・卸売店の言語
└使用したい言語
・最小購入額
└顧客が商品を購入する上で、最低限注文しなければならない販売価格
・小売価格
└卸売価格とは別に、小売価格の表示もあわせて実施するかの有無
・在庫切れの商品
└在庫切れの商品の注文可否
・卸売配送方法
└チェックアウト時の配送料金の設定
・アカウント登録
└卸売のサインアップの可否設定。※サインアップを有効にすれば、顧客は自分でサインアップができるようになるため、管理者からの招待が必要なくなります。
・Botの防止
└Google reCAPTCHAの有無を設定(Bot等からのサイト保護)
価格表の作成
続いてアカウントの卸売価格を設定するために、価格表を作成します。
卸売ストアでは、アカウントに紐付けた価格表の設定に応じた販売商品・商品価格が表示されます。
設定はメニューの「価格表」から行います。
価格表を作成する
卸売ストアの価格表を設定する際の選択肢は、
1.割合によるディスカウント(一律20%オフなど)
└すべての商品か選択したコレクションに適応。
2.量による価格(〇〇数量以上の購入など)
└個別の数量設定と合計の数量設定が可能
3.価格表のインポ-ト(CSV形式でインポート)
└商品それぞれに価格を設定
となります。
価格表は、用途によって使い分ける
1.割合によるディスカウント
商品に一定の掛け率設定(一律20%オフなど)を行いたい場合、割合ディスカウントを選択します。
設定できるディスカウントの対象は、
・すべての商品
・選択したコレクション(選択していない商品は小売価格のまま)
となります。
2.量による価格(〇〇数量以上の購入など)
数量に基づいて、価格を設定する場合に利用されます。
卸売価格、最小注文数、最大注文数、インクリメント(ロット数)の設定ができます。
また、最小注文数を設定する際に、
・各バリエーションの最小注文数を設定する方法
・複数商品合計での最小注文数を設定する方法(AとB商品の注文合計数があわせて50個になるなど)
の2通りが選択できます。
また、詳細設定で、「異なる数量で異なる価格を提供するために数量の分岐を追加する」にチェックを入れると「10点以上購入した場合、1,000円引き」など数量毎のディスカウント設定が行えます。
価格表の詳細設定のページでは、購入数量毎に価格の設定が可能。
※価格表の詳細作成ページ(全体)※
3.価格表のインポート
価格表のインポートは、割引率を商品毎に変更したい場合に利用します。
価格表作成時に、価格表のインポートを選択してください。
価格表のインポートは商品によって細かい設定が可能
価格表は規定に沿ったCSVファイルをインポートする必要があるので、別途作成する必要があります。
CSVファイルには、
・sku、barcode(どちらか必須)
・wholesale price
・minimum_units
・maximum_units
・increments
を記載します。
サンプルのCSVファイル
また、注文数に応じて単価を変更したい場合、最小・最大注文数、バリエーション別の最小個数、ロット数などをCSVファイルに記載することで条件設定ができます。
記載の方法及び、ファイルのサンプルは、以下ページから、確認することが可能です。
https://help.shopify.com/ja/manual/sell-online/wholesale/channel/price-lists-customers/import-prices#sample-csv-files
※顧客タグの紐付けは必須
価格表の詳細設定の最後に、「顧客タグ」設定欄があります。
これはストアユーザー(顧客)と作成した価格表を紐付ける際に必要です。
顧客タグは、ユーザーアカウントのタグと紐づく
上記に設定した顧客タグは、メニュー画面「顧客管理」のタグの部分と一致している必要があります。
※Wholesaleの顧客タグと一致すると、価格表を紐づく
顧客管理
価格表と顧客タグの設定が完了すると、「顧客管理」のページにて、顧客情報が追加されます。
顧客情報が追加されているがステータスが「招待されていません」となっている
顧客タグと価格表の紐付けが完了したら、
アカウントを有効にするために招待メールを送信します。
ストアログインのために招待メールを送付する
上記のメールが送信先のユーザーにも送付され、ユーザーが「アカウントを有効にする」ボタンを押せば登録完了です。
卸売ストアのTOP画面に、パスワード設定画面が表示されます。
パスワードは8文字以上で作成
パスワードを作成すれば、ユーザーはすぐにログインが可能です。
ユーザーはログイン画面でメールアドレスとパスワードが必要となる。
Wholesaleで設定した、商品と卸売価格が表示されました。
※小売価格の有無は別途設定可能
※補足※下書き注文
ユーザー(卸業社)が商品を注文すると、下書き注文がマーチャントに送信されます。
ユーザーは、以下のメールを受信します。
※上記は下書きの注文となっているので、別途請求書を送付する必要があります。
その他の機能
ページ
ページを追加したい場合は、サイドメニューのページ部分から「ページ」を選択します。
マーチャントは、ユーザー(卸売業者)向けのページを作成することができます。
メニュー
メニューの設定画面では、商品の並び替え、表示する商品コレクションの選択などが可能です。
メニューページの追加ができる
外観
ロゴの追加やアクセントカラー、背景画像の設定ができます。
注文管理
卸売ストアで商品を購入したユーザーは、メニュー画面上で注文書の確認ができます。
メニューの注文管理ボタンを押す
今回は、Shopify Plusの専用販売チャネル、Wholesaleの紹介をいたしました。
もちろん、ShopifyPlus プランを利用している方以外でも、卸売業者向けの掛け率で商品を販売したいマーチャントも少なくないでしょう。
Shopifyアプリストアにリリースされているアプリを利用すれば、新たなページ設定は出来ないものの、卸売向けの価格での販売は可能です。
それらアプリも作成した価格表と顧客タグを紐付けて、ディスカウントを行ってくれるので、Shopify Plusはすぐに利用できないけれど、機能を使いたいと考えている方は、試してみる価値があるでしょう。