数字で見る!CRM/SFA・MA各ツールの国内導入動向
CRM/SFA・MAといった顧客との接点を創出していくのに重要なツールを導入していきましょう! というのは、良く聞く話で皆さんも聞いたことがあると思います。
今回はデジタルマーケティングの基本に立ち戻り、CRM/SFA・MAの各ツールの役割と導入メリット/デメリットなどのまとめと、各ツールを導入すればいいのはわかるけど、実際にどのくらいのユーザーが使っているのかについて調べてみました。
今日のアジェンダは・・・
・おさらい! CRM/SFA・MAとは
・各ツールの市場規模と導入率は??
・なぜ、CRM/SFA/MAのツールをつかう企業が増加するのか
・まとめ
今回は長文となりますが、お付き合いください。
おさらい!CRM/SFA・MAとは?
CRM/SFA・MAと名前と概要は何となくわかっているけども、どのツールも同じようなことができて、どういうときに利用すればいいのかあいまいになっていませんか?
本題に入る前に各ツールがどういうもので何ができるのかをおさらいしましょう。
CRMとは
Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略です。
CRMは顧客・見込み顧客が持つ情報を適切に管理・利用していくことで、企業との関係を構築していくという概念です。
CRMツールではBtoCの場合は顧客の名前やメールアドレス等の基本情報に加えて、商品やサービスの購入履歴やお問い合わせ履歴などのデータを一元的に管理します。
BtoBの場合は、会社名や担当者名・担当者の役職、問合せ履歴などのデータを一元管理します。
■CRM導入のメリット / デメリット
〇メリット
・俗人化していた顧客情報の一元管理
・適切な顧客対応による顧客満足度の向上
〇デメリット
・こまめに情報入力しないとCRMツール自体が機能しない。
・導入効果が表面化しにくい
■一般的なCRMツールでできること
・顧客管理
・メール配信
・Webアンケートによる満足度調査
SFAとは
SFA(Sales Force Automation:セールスフォースオートメーション)の略で営業活動の支援を目的としたシステムです。
SFAは営業プロセスや見込顧客・既存顧客の営業活動に関する情報、営業担当者が保有している顧客情報をデータベース化し共有します。
営業担当者が逐一営業活動の情報をシステムに入力することで、漏れなく適切なアプローチが可能になるので、商談の成約率アップに大きく役に立ち、売上貢献につながります。
また、情報を共有することで担当者変更や新たに担当者になった場合でも人材育成にも活用ができます。
■SFA導入のメリット / デメリット
〇メリット
・営業活動の可視化により情報共有がスムーズ
・受注確度が高い顧客と低い顧客の判別がしやすいので、効率的な営業活動が可能
〇デメリット
・営業担当者が情報入力しないとSFAツールが機能しない。
・システムが定着するのにある程度の時間が必要
■一般的なSFAツールでできること
・顧客管理
・スケジュール管理
・ToDo管理
・営業進捗のレポート機能
MAとは
Marketing Automation(マーケティングオートメーション)の略でマーケティング活動を自動化しシステムです。
顧客一人一人の興味や関心に応じたコミュニケーションを取ることが可能ですし、
マーケターの日々膨大な量の作業を簡素化・自動化し実施したマーケティング施策がどのような成果に至ったかをレポート化することができます。
■MA導入のメリット / デメリット
〇メリット
・見込み顧客の創出・育成・分類・リストの管理ができる
・一度シナリオを作成してしまえば自動化できるので、別の作業に時間を費やせる
〇デメリット
・ある程度のコンテンツ量がないとシナリオが作れない。
・システムが定着するのにある程度の時間が必要
■一般的なMAツールでできること
・セグメント配信
・フォーム生成(LPやWebフォーム)
・トラッキング
・スコアリング
・シナリオ作成(管理)
以上がCRM/SFA・MAツールでしたね。
大雑把に書きましたが各ツールの説明は以上です。
次に各ツールについて市場規模と導入率についてまとめました。
各ツールの市場規模と導入率は?
冒頭にも書いた通り数年前からCRM/SFA・MAの各ツールの名前を聞くようになったと思いますが、皆さんはCRM/SFA・MAのどのツールを導入していますか?
まずはCRM/SFAに関連する数字をまとめました。
ミック経済研究所は2019年1月15日にCRM分野におけるクラウド型市場の現状と中期予測をまとめ発表しました。
青線がクラウド型CRM市場で、オレンジ線がオンプレミス型CRM市場になります。
クラウド型CRM総市場推移およびオンプレミス型CRM市場との市場推移の比較
出展:ミック経済研究所:クラウド型CRM市場の現状と展望 2018年度版
2018年の実績では2,037億の市場規模が2022年の予測値では4,780億にまで上昇すると予測されています。
また、現在はまだクラウド型CRMよりもオンプレミス型のCRMの方が導入されていますが、2021年を目途に逆転すると予想されています。
以前は金融・保険・証券などはセキュリティの関係上クラウド型のソフトウェアを利用するのはNGでありどのソフトウェアもオンプレミス型のものを利用するのが主流でした。
しかし、テクノロジーの発達により1社でセキュリティを保つのが困難になってきたため、オンプレミスからクラウドへ移行が徐々に始まっているのだと考えられます。
次に矢野経済研究所の2019年1月23日に発表した業務ソフトウェア(SaaS)の導入実態に関するデータをご確認ください。
SaaSの利用率と次回システム更新時のSaaS導入予定(出典:矢野経済研究所)
上図は2012年から2018年までの国内の民間企業を対象に郵送アンケートの調査データです。CRM/SFAは一番右の列になります。
2012年の時は111社のうちCRM/SFAを既に導入している企業が9% (約10社)
2018年の時は132社のうちCRM/SFAを既に導入している企業が28%(約37社)
となり6年間で4倍弱の成長と順調に拡大しています。
母数の少ない郵送アンケートでこの結果ですから、CRM/SFAの導入動向としては、進んでいると推察できます。
次にMAについてみていきましょう。
矢野経済研究所が発表している資料では、2016年の実績では300億円であるが、
2022年の見込値では639億まで上昇すると見込まれています。
出典:矢野経済研究所「DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市場に関する調査(2017年)」
また、Nexal,Inc.が出展している2017年上期 国内33.3万社のMAツール実装調査では国内332,688サイトのうち導入率は0.5%(1677サイト)となっています。
出典元(Nexal,Inc.)2017年上期 国内33.3万社のMAツール実装調査
まだまだ国内でのMA導入率は低いですが、CRM/SFAと同様にMAも今後成長が見込まれ、導入企業もますます増加すると予測できます。
では、なぜCRM/SFA・MAツールを各社が導入しているのでしょうか?
なぜ、CRM/SFA/MAをつかう企業が増加するのか
従来は企業がテレビや新聞などのマス広告を行うことで、売れていた商品・サービスが、スマートフォンの普及やSNSアプリの利用拡大により消費者 / ユーザーの利用行動に変化が生じています。
現在では消費者 / ユーザーは商品・サービスの提供企業からの情報は売り込み色が強くあまり見られていません。ある商品が気になったら消費者・ユーザー自身が商品・サービスを調べ、第三者からの情報(口コミやまとめサイトなど)を参考にしながら購入検討に至っています。
消費者庁による「商品やサービスを購入するときに口コミを参考にするか?」に関する調査結果ですが、20代では71.4%。30代では69.6%。40代では59.6%と幅広い層がクチコミを参考にしていることがわかります。
出典:平成29年 消費者白書 【特集】若者の消費
従来のマーケティング手法では商品・サービスが売れないため、企業はMAツールを利用し、ユーザー一人一人に適切な内容・適切なタイミングでコミュニケーションを行う必要がでてきました。
このパーソナライズしたコミュニケーションを行うことが現状のマーケティング手法では重要なことだと考えられています。
また、一度商品・サービスを購入されたらそこで終わりではなく、リピート顧客を育てるために、CRMツールを導入してユーザーの属性情報を収集・把握し、リピート顧客の創出する企業が増加しています。
また、BtoB向けの商材を扱う企業では今までは営業リストに対して順番に攻めていった営業手法に対してSFAツールを利用することで、成約確度の高いユーザー・低いユーザーを分類分けができ、効率的に営業活動を行っています。
このように今まで広範囲に対して広告・宣伝をすれば商品・サービスが売れていましたが今後は顧客の立場に立つことが重要になっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
CRM/SFA・MAの導入への参考情報になれば幸いです。
ツールを導入しただけで売上があがるや効率化できるといったものではありません。
CRM/SFA・MAを導入して共通していえるのは、情報入力・情報蓄積は忘れずに行うことが、ツール導入の成功のカギです。
マーケティングを取り巻く環境の変化により何をする必要があるのかについてまとめた資料がありますので、今後の参考にしていただければと思います。