
物流倉庫の品質向上施策と実務とは?誤出荷率を下げる取り組み【現場インタビュー】
現場から~#5.トランスコスモスの 「センター課」
ECワンストップセンター北柏で働くセンター課の「現場」メンバーにインタビューをしました。
参考:フルフィルメントサービス部 センター課 課長 岡崎 雅之さんインタビュー
業務内容や高品質物流倉庫を実現する方法詳しく解説
目次[非表示]
誤出荷率を下げる!ゼロベースからの構築
吉澤さんは、品質管理を担当されてどのくらいになりますか?
約4年前に品質管理にアサインされました。アサイン当初、ゼロベースから構築し、色々な施策を手探りで導入してきました。配属された当初の誤出荷は「17PPM」でした。現在では誤出荷率「5.6PPM」という、完全オートメーション倉庫並みの高品質となりました。
年々PPMが下がってきていることに非常にやりがいを感じています。
※「ppm」とは「parts per million(パーツ・パー・ミリオン)」の頭文字をとった言葉で、「ピーピーエム」と読みます。100万分のいくらであるかという割合を示すparts-per表記による単位で1ppm = 0.0001%
【参考】ロジスティクスサービスに重要な物流品質の考え方~PPMとは~
誤出荷率の低い(5.6PPM)高品質物流倉庫を実現させる5つの方法
現在のような、高品質なサービス提供を維持するための取組を教えていただけますか?
1、品質定例会
ロジスティクス課、バックオフィス課、プロジェクトマネージメント課、それぞれの課に品質担当を置いてもらい、毎週課ごとにその担当者とトラブルやヒヤリハットなどの状況確認の場を設けています。発生したトラブルだけに目を向け対策を立てることが多いと思いますが、私たちは、ヒヤリハットを吸い上げることで、トラブルになる前にトラブルに繋がる要因を潰していっているため高品質が保たれています。
以前は、”ヒヤリハット=ネガティブな気づき”であり、隠しがちな雰囲気もありましたが、“トラブルになる前に気づけたことは良いことである”だからこそ、“ヒヤリハット=ポジティブな気づき”という意識へ変えるために、毎週ミーティングを重ねていき、今では、各課から、積極的にヒヤリハットが上がってくるまでになりました。
各課から出てきたヒヤリハットに対してどのような活動をしているのですか?
実際のフローやマニュアルを確認し、どこにトラブルを引き起こす危険性が潜んでいるか検証します。実際の改善策に関しては現場のメンバー主導で行っていただきます。改善内容を報告してもらい、新しい運用方法が現場で定着しているかの確認まで行います。
2、トラブル・ヒヤリハット共有会
四半期に一度、フルフィルメントサービス部の全メンバーを参加対象として開催しています。担当している業務は課によって異なりますが、トラブルになり得る要因というのは共通していることもあります。そのため、他の担当者でも起こり得る、もしくは対策を応用できそうなものをピックアップして共有します。
3、稼働判定
新規案件ローンチに向けて、必ず稼働前判定を実施します。稼働判定の項目は約60項目設けています。体制図、エスカレーションフロー、業務要件が整っているか、入荷出荷、現場設営状況、作業マニュアル整備状況…などです。
各項目毎にウェイトを設定していて、全ての合計が80%以上になれば合格です。80%切った場合には、指摘項目に関して最優先で改善してもらいます。かなり細かく厳しく判定するため、ローンチ時に100%達成は難しいのですが、稼働後判定も実施し、必ず100%になるまで改善と点検を繰り返し行っていきます。この活動のおかげで、準備までの期間が短い急な案件であっても、トラブル発生が起こり得ない状態でのローンチを徹底することができています。
参考:実際に使用している独自の稼働判定フォーマット(=チェックリスト)
稼働判定詳細はこちら→顧客満足度を向上させる物流品質の取り組み
4、ウォークスルー点検
隔月1回、倉庫内を巡回し、安全面や環境面の異常(事故に繋がりそうなもの)の有無を確認します。万一、異常を発見した場合は、すぐに改善します。
5、グッドポイント表彰
倉庫内で改善や良い取り組みを表彰する活動です。リーダー以下のメンバーを対象にしています。副賞も用意して、メンバーのモチベーションアップに繋げています。今までに、出荷指示毎にファイルの色分けや、カッターなどの置き場所など数字づけ(三定管理)など、メンバーのアイディアで倉庫内の業務は常に改善・成長しています。
物流倉庫内で発生したトラブル対応【3つの方法】
万一、トラブルが発生したときの品質管理担当の動きを教えていただけますか?
1、監視カメラ検証
トラブルがどのような状況で発生したか、画像確認し、原因を追及します。その上で、現場目線での再発防止策を講じます。
2、現場検証
トラブル発生時と同じ状況を作って再現検証を行います。その際に、すでに起きてしまったトラブルの検証だけでなく、他に起こり得るミスも検討し対策を講じます。
3、オペレーション点検
講じた再発防止対策が順守されているか作業員のオペレーションを点検し、再発の恐れがないか確認します。
現場メンバーの意識の変化
現場メンバーは、品質管理の取組には協力的ですか?
品質管理担当者は、現場メンバーにとっては時に煩わしい存在でもあると思います。いわゆる嫌われ役だと思っています(笑)。でも、私たちの品質管理の活動は、トップダウンで指示するだけでは継続できません。
現場業務を理解し、現場に寄り添った提案をすることが、継続的な改善活動に繋がると考えます。そのため、現場メンバーとの信頼関係の構築を一番大切にしてきました。その結果、メンバー一人一人が、品質管理の活動に対して、徐々に理解を示してくれるようになり、意識が変わってきたと実感しています。
究極目標はトラブルゼロ
今後取り入れていきたい施策や、目標など教えていただけますか?
まず、現場の紙ベースのマニュアルからクラウド型マニュアルを入れることを考えています。それにより、動画などで作業の流れを視覚的に習得できることにより、解釈の齟齬も防止でき、新人研修や新しいオペレーション時にもスムーズに業務習得が可能と考えています。
また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入により、人為的ミスを極限まで減らしていくことを検討しています。今の品質管理の活動を地道に継続していきつつ、オートメーション化推進により、究極目標のトラブルゼロを実現していきたいと考えています。
物流倉庫の品質向上に関連する記事
・物流の品質管理向上とは?スキルとQC検定を解説
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・ロジスティクスサービスに重要な物流品質の考え方~PPMとは~
https://transcosmos-ecx.jp/blog/fulfillment/35
・物流倉庫の品質向上施策と実務とは?誤出荷率を下げる取り組み【現場インタビュー】
https://transcosmos-ecx.jp/blog/fulfillment/26
・顧客満足度を向上させるEC物流品質管理の取り組み
https://transcosmos-ecx.jp/blog/fulfillment/28
【参考】ロジスティクス業務を解説~1日の流れ~
トランスコスモスのECワンストップセンター北柏で働くロジスティクス課のスタッフの1日の流れをご紹介します。
具体的な業務の流れ、タイムテーブルをご紹介する事でロジスティクス業務をご理解いただけると思います。ロジスティクスの「マネージャー」と「現場管理者」2名の業務をご紹介します。
https://transcosmos-ecx.jp/blog/fulfillment/21
【参考】バックオフィス業務を解説~1日の流れ~
トランスコスモスのECワンストップセンター北柏で働くバックオフィス課のスタッフの1日の流れをご紹介します。
具体的な業務の流れ、タイムテーブルをご紹介する事でバックオフィス業務をご理解いただけると思います。
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