
RSLが値上げ!その内容とは?
2025年のはじめ、楽天グループは物流サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」の料金体系を同年6月から変更すると発表しました。その中にはインパクト強めな値上げが含まれているため、主にECに関する業界に衝撃が走りました。
今回は「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」 の値上げについて解説していきます。
「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」について
「楽天スーパーロジスティクス(以下RSL)」は、 楽天グループと日本郵便の合弁会社であるJP楽天ロジスティクスが運営する「楽天市場」出店事業者向けの物流アウトソーシングサービス。 荷受けから保管、梱包や出荷までの一連の物流業務を一括して委託し、物流に関する課題やコスト削減への提案などのサポートも充実しています。
物流拠点は、関東・関西・福岡の6カ所に所有。「楽天市場」の配送品質向上制度に対応した物流サービスとして、全出店店舗の約5分の1にあたる約1万1000店舗に利用されています。そして「楽天市場」が取り扱う荷量の、実に1割以上が「RSL」から出荷されています。
さらに、北海道〜沖縄離島含む全国一律の配送料金設定、「最強翌日配送」を含む365日出荷、「楽天スーパーSALE」はじめ大型セールによる波動出荷にも対応。「楽天市場」だけではなく、他モール店への出荷も対応します。
2023年~2024年「RSL」流通総額の平均成長率は、「楽天市場」における 未利用事業者と比較して9.2ポイントUPという業績を上げました。
RSL値上げの詳細
25年6月から実施される価格変更について、以下の内容が発表されています。
■メール便
188円 → 199円
■宅配便
60サイズ:380円 → 422円
80サイズ:380円 → 503円
100サイズ:380円 → 599円
120サイズ:500円 → 723円
140サイズ:850円 → 880円
160サイズ:850円 → 1047円
■出荷作業料(1psあたり)
極小サイズ:50円 → 52円
小サイズ:80円 → 84円
中サイズ:100円 → 105円
大サイズ:200円 → 210円
加えて、これまでは同一料⾦としていた「楽天市場」以外のモールからの注⽂の出荷分についても「他モール出荷料」として別途請求します。
■他モール出荷料(上記の宅配便料金に追加)
ポスト投函(3㎝以下):14円
ポスト投函(5cm以下):24円
宅配便40~60サイズ:24円
80サイズ:28円
100サイズ:32円
120サイズ:40円
140サイズ:50円
160サイズ:62円
資材料についても、資材を使⽤しない場合(店舗から⼊荷した荷姿のまま出荷する「ケース出荷」など)も、送り状代などとして 7円/個を別途請求 する方針です。
RSL値上げの背景
楽天グループとしては、今まで配送コスト抑制に注力し続け、RSLの配送料金についても2023年まで料金体系の維持に努めました。しかし、昨今の物価高や物流の2024年問題の影響による人手不足、宅配キャリアの配送料の値上がりなどを受け、料金体系の維持が難しくなったことが背景にあるようです。
新サイズ宅配の新設・リードタイム短縮
単に値上げするだけではなく、楽天グループは 「新サイズ宅配」を年内に新設する予定である事も発表しました。
メール便では「厚さ5cmまでのサイズ」、宅配便では「40サイズ」を新設し、化粧品のような小サイズ帯の商品は廉価に提供できるようにする方針です。
さらにメール便について、午後3時を注文締め切りとしている翌⽇配送を「午後11時59分まで延長する」計画も進行中。午後8時に開催される「楽天スーバーSALE」など、夜間にスタートするキャンペーン利用者に向けてサービスを充実させる方針です。
以上、「RSL」の値上げに関して解説しました。
宅配便では100サイズが1.5倍以上の値上げ、他にも出荷作業量の値上げや他モール出荷手数料が追加されるなど、EC業界が受ける衝撃はかなり大きいものと思われます。
今回の値上げは、物価高や2024年問題などの課題を抱える物流業界の「写し鏡」といえるのではないでしょうか。
しかし、この現状を逆手に取れば「運送費など今の物流業務を見直す機会」と捉えることもできます。
作業効率向上やリードタイム短縮など、売上拡大に繋がるロジスティクス施策について、ぜひ当社にご相談ください。