ネット広告を活用した集客【番外編】
これまで私の2回の記事を通じて、ネット広告の特徴やその種類について説明をさせていただきました。
今回は少し横道に逸れる形になりますが、先日5/8にリリースされ、話題となっているYahoo!の広告ネットワークから個人運営によるアフィリエイトサイトを配信先から除外していく件に関しまして、私見が多分に含まれる形にはなりますが、所感を述べさせていただければと考えております。
・ Yahoo!JAPAN 広告掲載基準判断基準変更のお知らせ
https://promotionalads.yahoo.co.jp/support/announce/672679.html
端的に申しますと「6/3からアフィリエイト目的と思しきサイトを広告配信先として排除」する物となり、背景としては2019年3月に世間一般としても話題となった通称、『漫画村問題』や前後して熱が高まっている『アドフラウド』『アドベリフィケーション』への対応という観点から、業界をリードする立場であるYahoo!JAPAN社として、実際に広告に触れる消費者に害を与えないために、恐らくは消費者視点、ユーザーファーストに立った形で
「ウザい、アヤしい広告出し続けるのって良くないよね?
例え儲けが減るとしても、ユーザーあっての我々だから」
という観点から取り締まりを強化しているその一環と見ております。事実、昨年から行動に移しておりまして、昨年9月にはアドフラウド対策の観点から下記のようなリリースも発表しており、このようなYahoo!JAPAN社の行動に関しては筆者個人として賞賛の限りです。
・Yahoo!JAPAN アドフラウド対策の強化について
https://promotionalads.yahoo.co.jp/support/announce/533665.html
ただ、裏を返せば「漫画村問題」をはじめとした著作権侵害サイトの問題や『アドフラウド』『アドベリフィケーション』への対応是非が表面化していなければ
「ウザくても、アヤしかったとしても
広告出して問題ないよね?だって儲かるもん」
という状況がまかり通り続けしまう可能性も存在していた訳でしょうから、これは業界全体としてみれば消費者の皆様をこれまで裏切っていたといっても過言ではないと筆者としては感じています。
この問題は極端な話、(ネット)広告を概念として捉えるのか、装置として捉えるのかにつきると考えられるのですが、ネット広告そのものが、他の例えばTVなどとは異なり、その大半はPCなど端末から出稿を行えるものが大半を占めるようになり、画面を通じて状況や結果を数値として可視化でき、効率を追い求めることが容易になっていることから、どうしても集客や顧客獲得のための装置として扱われてしまいがちになってしまい、その結果の一例として下記のような一つの流れが発生してしまっているためだと考えております。
▼イメージ(あくまで一例になります)
ただ、原点に立ち返りますと、広告というものは「広く多くの方に告知をする」ために生まれた概念であり、集客や販売はその結果であり、成り立ちとして装置ではなかったはずであると思います。
そのため広告は「多くの方」にあたる消費者にとって有意義となり得る情報を提供する事求められ、少なくとも「ウザい」「アヤしい」広告を提供してしまえば、その元々の存在意義から揺らぎかねますので、本来は避けていかなければならないというのが筆者の持論です。
もちろん、業界全体としてもそういった思いを抱えている方は多く、またその気運も高まっていますので、広告代理店やメディアの皆様も消費者の皆様にとってより良いものを提供すべく、団体を組織しています。
・一般社団法人日本インタラクティブ広告協会 【広告関連事業者中心】
http://www.jiaa.org/
・一般社団法人デジタルメディア協会【メディア事業者中心】
https://amd.or.jp/
このように業界全体として改善・是正すべく良い方向に進めようと行動に移しておりますが、ただ立場や視点の違い等により、装置としてみるのか概念としてみるのかにより、考え方や利用方法は変わってくると思いますので、もし皆様がもし、広告としてネットへの出稿をお考えの場合には以下の2点も念頭に置いた上で、どこに自分あるいは自社の広告を出稿すべきであるのかを吟味し、その上で最大限効率化を図れるのかを追及していただければ幸いです。
①広告がユーザーの邪魔になってないかどうか?
スマホで特に顕著ですが、記事を中頃までよみ進めるといきなり画面が薄暗く暗転し、その上に掲載される広告や×ボタンを押そうとすると広告のサイズそのものが変わるものや、広告枠がそもそもないのに変なページに飛んだという経験はないでしょうか?広告のクリック数を稼ぐことを目的にウザがられるのを承知で枠を設けているサイトやアプリが存在しますので、避けたいのであれば掲載対象から除外あるいは掲載しても問題ない、掲載したいサイトを事前にリストアップしておく事を推奨します。
②コンテンツの信憑性に問題ないか?公序良俗に反してないか?
成年向けサイトや反社会的な内容のコンテンツにもたくさん広告枠が設けられています。そういったサイトに広告が掲載されてしまいますと、広告を見たユーザーに悪印象はもちろんの事、そういった方々・団体等とのつながりがあると勘違いされてしまう可能性はゼロではありませんので、①同様のリストアップを行っておく事が推奨されます。
ただ、装置という観点も否定するべきものではなく、装置によってビジネスを拡大されてきた方も存在し、結果、消費者もどこかで恩恵を受けていた可能性もあり、また、一方では現在ではTV広告や屋外広告等の売買や出稿もネット広告同様にPC等を通じて管理できるように発展が進んでおり、装置化が進んでいます。
ただ、仮に売上が上がったとしても、広告を出稿する事で悪印象を持たれてしまっては元も子もないと思いますので、難しい部分はありますが、どうバランスを取っていくのかを天秤に掛けた上で広告の出稿を検討していただければ幸いです。