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2024年、EC業界を振返る 〜 そして、2025年の展望は
2024年のEC市場。
BtoB・BtoC市場ともに更なる成長を遂げ、AI技術と産業ロボットが飛躍的に進化。動画・メタバースを活用した新たなビジネスモデルが着目される年でした。
反面、「物流2024年問題」により運送量の低下が懸念され、EC業界にとっては物流コストや配送サービスへの対応が迫られる年でもありました。
目次[非表示]
EC市場は軒並み拡大するも、EC化率は鈍化
2024年は日本のBtoBおよびECの市場がさらに大きく成長した1年。
2024年9月に経済産業省が発表した「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場操作)」によると、市場は前年比10.7%増、EC全体の市場規模は、465兆円にまで達しました。
ただ、BtoBEC市場における物販系分野のEC化率は9.38%、成長率は前年比4.8%と、コロナ禍であった2020年の前年比成長率21.7%に比べると明らかに鈍化し「EC業界は成熟期に入った」と語る有識者もいます。
AI技術の飛躍と産業ロボットの普及化
2024年は、生成AIの急成長に伴って産業ロボットも大きく進化し、私たちの日常生活や産業に急速に浸透した年といえます。
ChatGPTをはじめとする規模言語モデル(LLM)がさらなる進化を遂げ、自然言語処理だけでなく、画像生成や音声認識と統合されたマルチモーダルAIとしても活用されています。
一方で、イーロン・マスク氏をはじめとする専門家たちが「汎用人工知能(AGI)」や「超知能(ASI)」の台頭に警鐘を鳴らし、AIの実用化と制御の両立が大きな議題となりました。
その点も加味し、2024年は技術的な進歩と倫理的な課題の両方が表面化した、大きな転換期だったといえるでしょう。
トランスコスモスでは、フルフィルメントセンターでAI・機械化の導入が進み、さらなる発展を遂げました。
特に近年では、自動マテハンライン(自動封函機・オートラベラー)に続き、仕分けロボット(t-sort)を導入。大幅な省人化・品質向上を実現しております。
2024年問題におけるEC物流の大転換
日本政府による働き方改革関連法により、2024年4月1日から施行された自動車運転業務の時間外労働制限により起こった「物流2024年問題」。
人手不足などで運送量が低下し、それにより「物流コストの増加」「配送サービスの低質化」などが問題視されています。
EC事業者は、この物流問題に対しても、然るべき対応が迫られる2024年といえました。
動画・メタバースを活用した、新たなECビジネスモデルの発展
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単に商取引を向上させただけではありません。
SNSの普及やスマホ・タブレットの進化などにより、急成長を遂げた動画配信を活用した「ライブコマース」。くわえて近年は特に進化と普及が著しく、EC市場に大きな可能性を持つ「メタバース(仮想現実)」。2024年は、このライブコマースとメタバースを利用したECビジネスモデルが大きな注目を集めました。
トランスコスモスは、このライブコマースとメタバースを利用した、新たなECビジネスモデルに着目。
世界最大級の動画配信サービス「YouTube」と、世界最大級のECプラットフォーム「Shopify」。
この両サービスを連携させたビジネスをご提案しております。
さらに2024年、世界最大級のオンラインプラットフォーム「ROBLOX(ロブロックス)」と
Shopifyを連携させたサービスの提供を今年2025年に開始すると発表されました。
そして2025年、EC業界の展望は
さらなる進化と発展を続けるEC業界ですが、EC化率の鈍化による「成熟期」に入ったと言われる現状。そして2025年の展望は、どのように映るのでしょうか。
生成AIのさらなる進化と実用化
2024年は、様々な業種において 生成AI が大きく進化して実用化された年。
蓄積したビックデータと生成AIを組み合わせた新サービスが数多く生まれ、OpenAI や Google も様々な新モデルを発表しました。
トランスコスモスでは、コンタクトセンター運用プラットフォームに生成AIを活用。コンタクトセンター管理者とオペレーターの運用支援や、品質強化の効率を大幅に向上させるソリューションを開発しました。
このサービス導入により、ログの初期分析や不足ナレッジの確認、新人オペレーターの育成など現場マネジメントの工数を軽減。コンタクトセンター管理者は、本来のCX改善業務に注力することができます。
オムニチャネルから「ユニファイドコマース 」に
旧来の商取引「シングルチャネル」から、通販・ECの普及により発展した「マルチチャネル」。EC・スマホの使用が日常化した近年は、「オムニチャネル」が商取引の主流となりました。
そして今後の商取引として、異なる販売チャネルを統合して顧客体験の一元化を目指す「ユニファイドコマース」が注目されています。
例えるなら、複数の信頼できる友達と買い物に行くような感覚。あなたがオンラインで服を見ていると、友達の一人が「この服は3色が実店舗に在庫があるよ」とアドバイス。もう一人が「実店舗なら今はセール中だからお得だよ」。さらに一人が「この服は全色がオンラインで買えて、近所の宅配ポストに届けてくれるよ」…こんな感じでしょうか。
複数の販売チャネルが統合されているので、顧客は自分の希望や状況に合わせて、オンライン、実店舗、モバイルアプリなどチャネルの使い分けが実現。より便利で一貫性のある体験を得ることができます。
さらに、異なるチャネル間の「在庫管理・顧客情報を共有」するオムニチャネルを超え、ユニファイドコマースは「在庫管理・顧客情報を統合」。要約すれば、異なるチャネルを一つの統合されたシステムとして扱うため、すべての情報をよりリアルタイムかつシームレスに共有できます。
ユニファイドコマースのメリット
最適な顧客体験の提供と業務の効率化、この両立が目指せる「ユニファイドコマース」。この新たなコマースの導入を目指す企業様を、Shopify Plus パートナーであるトランスコスモスがサポートいたします。 詳細については、以前に Shopify Plus を招いて開催したウェビナー の動画をご覧ください。
Shopifyが持つ優位性、柔軟な拡張性、グローバルな成功事例を通じて、競争力を高める方法を明らかにします。EC市場で差をつけたい方は必見です。
持続可能な活動へ喫緊の対応
近年、特に取り沙汰されている地球規模の急激な環境変化。CO2排出、過剰包装・食品ロスによる廃棄物、これらの増大により蝕まれ続ける自然環境。これらの問題への対応は、環境意識の高い消費者からの支持やブランドイメージなど、企業の存続に直結しかねない喫緊の課題となっています。
トランスコスモスとしては、責任ある企業活動とpeople&technologyを軸とした事業を通じて、引き続きSDGsの普及と達成に貢献していきます。
EC市場の成長と、EC化率の鈍化。相対する状況が重なる中で迎えた2025年。
他にも、2024年問題に直面しているロジスティクス・フルフィルメント業界が抱える難題。
オンラインにおいて絶対不可避の、個人情報・支払い情報のセキュリティとプライバシーの確保。
EC市場は、新たなデジタル戦略、消費者行動の変化、物流の大転換期など、数多な問題への対応がより厳しく問われる事が予測されます。
しかし、この逆風といえる現状を巧みにとらえる事ができれば、さらなる飛躍への好機も生まれます。
その飛躍へのお手伝いにぜひ、トランスコスモスをご用命ください。