物流倉庫の自動化 | t-Sortの導入効果とは【物流DX】
2023年3月、トランスコスモス のフルフィルメントセンターに自動仕分けロボット「t-Sort」が導入されました。「t-Sort」導入の目的と効果を、t-Sort導入プロジェクトオーナーであるフルフィルメントサービス部 部長 政岡 啓介にインタビューしました。
自動マテハンラインに続くt-Sortの導入、省人化の狙いとは
―― 自動マテハンライン(自動封函機、オートラベラー)に続くロボットの導入となりますが、トランスコスモスで自働化、機械化を積極的に推進している理由は何ですか?
まず我々だけでなく、物流業界、日本全体の課題と言えると思いますが、労働人口の減少、人件費の高騰が挙げられます。
2022年時点で日本の労働人口は約7,420万人とされています。この労働人口の減少は、少子高齢化に伴って今後もますます進行していくことが確実です。
そして人口減少により、人件費が高騰しています。分かり易い例として、10年前の2013年の千葉県の最低賃金は、777円でしたが、10年後の2023年現在の千葉県の最低賃金は、984円であり、約26%高騰している状況です。今後も、労働人口減少に伴って、この傾向は続くものと考えられます。
また我々は、EC物流専門倉庫として運営しておりますが、皆さんご存じの通り、ECを取り巻く状況も大きく変わりました。
とくに2020年から始まったコロナウィルスの感染拡大による巣ごもり需要の影響は非常に大きく、この約3年間でECの需要が急拡大しました。もはやECは生活インフラの一部といっても、過言ではないと思います。
今後も拡大していくであろうEC需要に対して、人手不足は我々の事業を拡大する上で、大きなリスクになると考えています。そのため、事業継続の観点から、機械化、自働化を推進しています。
t-Sortを選んだその理由とは
―― 自動仕分けロボット「t-Sort」を選ばれた決め手は何ですか?
「t-Sort」の選定条件は、大きく4点あります。
① 出荷プロセスの中の「封緘」より前の工程を自動化出来ること
② 出荷プロセスの中の「仕分け」、「検品」の作業の自働化が可能なこと
③ 様々な大きさ、重量、形状の商材に対応できること
④ 繁忙に柔軟に対応できること
以上の4点になります。
①出荷プロセスの中の「封緘」より前の工程を自動化出来ること
我々は、2019年に、自動封函機、オートラベラーの導入を行いました。
これらを導入したことで、出荷作業のプロセスの中で、段ボールの封緘、送り状の発行、貼付の作業の自働化を行いました。
段ボールの封緘、送り状の発行は、出荷プロセスの中で、最終の工程にあたるので、段ボールの封緘より前の工程を自動化することが、まず大前提としてありました。
②出荷プロセスの中の「仕分け」、「検品」の作業の自働化が可能なこと
出荷作業の中で、「仕分け」、「検品」は、別のプロセスとして、作業を行ってきました。
「t-Sort」を使用することで、今まで別プロセスとして、行っていたものが、1つのプロセスに統合できることで、大幅な工数削減が期待できた点です。
※イエローハイライト:「t-Sort」を使用することで「仕分け」、「検品」の工程が自動化される
③様々な大きさ、重量、形状の商材に対応できること
我々の事業の特色として、複数社のお客様企業をご支援させていただいてるため、お取り扱い商材は多岐にわたります。大きさ、重量、形状も様々です。そういった多種多様な商材に対応するためには、汎用的、最大公約数的に対応できることが必須条件でした。
この観点からも、「t-Sort」は、縦横サイズはA4サイズまで対応可能ですし、積載重量も15kgまで対応可能であるため、求めている条件をクリアしたのです。
④繁忙に柔軟に対応できること
EC事業者は同様の課題を抱えると思いますが、BtoC向けの出荷は、繁閑の差が非常に大きく、特に繁忙期は出荷量に併せて、人員の手配が必要となります。
「t-Sort」の特徴として、「RaaS(Robotics as a Service)」でサービスを提供できる点です。
要約すると、必要な時、必要な分だけ、最小限の課金で、ロボットの追加が出来ることが、我々の事業に非常にマッチしていると考えました。
また、設備面も、アンカー工事などを必要とするマテハン機器だと、設置に1~2ヶ月かかる場合もありますが、「t-Sort」はパレットを並べ、その上にRFIDを備えたマットを敷くだけなので、とにかく設置が容易である点も、メリットだと考えます。
賃借物件の場合、アンカーを打つと 退去時に原状回復を求められるますが、アンカーを打たないで設置が完了する「t-Sort」は原状回復のコストを軽減できることも、「t-Sort」を選んだ大きな理由になります。
機械化、自動化に期待できること
―― 「t-Sort」がもたらす効果について教えていただけますか?
期待している効果としては、「雇用の多様化」と、「品質」の2点です。
まず、「雇用の多様化」についてですが、動画を見ていただければお分かりになると思いますが、非常に作業が単純化します。そのため、人の手を介した複雑な作業がなくなり、様々なバックグラウンドの方が活躍できる環境を用意できると考えています。例えば、言語、年齢、障がいに関係なく、多様な個性を柔軟に受け入れることが可能になるのです。
つまり、冒頭でお話しした課題である「人手不足」を解消する効果が期待できます。
2つ目が「品質」です。
これまでの人の手を介した複雑な作業から、ロボットを使った作業を行うことで、品質の向上も期待しています。自動封函機、オートラベラーを導入した際にも、感じましたが、機械化、自働化は、品質の改善に大きく貢献しました。機械、ロボットを信用しすぎることは、危険な側面もありますが、ロボットでの作業に切り替えることで、確実に人為的なミスは減ります。
いかに、ミスをなくしていくのかという観点からも、「t-Sort」に期待している効果となります。
物流業界の課題解決に向けて
―― 最後にこのブログ読者の方に向けて、メッセージをお願いします
人手不足が深刻化する中、今後ますます雇用の確保は難しくなってくることは間違いないです。
我々は、お客様企業の商品をお預かりする立場として、安心してお仕事を任せて頂くために、「未来への投資」として、「t-Sort」を導入しました。
「トラックドライバー2024年問題」、ロシア/ウクライナ戦争を発端とする「燃料費、資材費高騰」など、物流業界は多くの課題を抱えています。
我々は、こういった課題に対して、ロボットやAIといったテクノロジーを駆使し、これらの課題の解決を図っていきたいと考えております。
少しでも、EC物流に課題を抱えているお客様がいらっしゃいましたら、是非ともトランスコスモスにご相談ください。倉庫見学会も行っておりますので、お気軽に問い合わせください!