パンダ返還から考える輸送手配の利便性
2023年2月21日午後、パンダのシャンシャンが飛行機で成田空港から中国・四川省へ旅立ちました。成田空港では、タケノコやリンゴを食べて落ち着いた様子だったとか。機内でもぐっすり寝れたようで、無事中国に到着し、30日間の検疫を受けました。一般公開まであと少し!中国でも元気な姿を見せてくれることでしょう。
5回のシャンシャン返還延期
ここでもコロナウィルスの影響が…
2023年2月、ついに上野動物園生まれのパンダ、シャンシャンが中国へ渡りました。
移動はチャーター貨物機で成田空港を飛び立ち、四川省から入国です。
ついに、というのは当初、東京都と中国側との協定で2020年12月までに中国に返還される予定でしたが合わせて5回延期されていたからです。
この数度の延期の理由に大きく関係しているのが新型コロナウイルスです。
コロナ禍における航空便の就航停止と再開
チャータ便制限も…
移動の際に専門スタッフの同行が難しいという渡航制限も延期理由の一つでしたが、実はチャーター輸送というキーワードから見ていくと別の理由がありました。
数年前まで、中国と各国を結ぶ旅客機の定期航空便は、各航空会社について各国1路線、週1回の往復に限定されていました。さらに国際チャーター不定期便の運行は、中国当局に承認されていませんでした。それが2020年5月に緩和され、チャーター便の申請が認められるようになりました。経済発展の需要に応えた形です。
しかし緩和されて間もなく、新型コロナウイルスの感染が拡大し状況は変わりました。厳しい外出制限が設けられた時期には、通常貨物便においても空港の従業員が出勤できないための欠航が発生しました。
また空港から指定場所へ配送するドライバーの不足もあり、輸送遅延はサプライチェーン全体へ影響を及ぼしました。さらに、緊急チャーターの需要は増加する半面、供給量は絞られ航空運賃が3倍以上に高騰した例もあります。
チャーター便とはいえ成立するには様々な制限の影響を受け、確保に難航することもあるのです。
国内の車両輸送、チャーターを選ぶ条件とは
チャーター便を選ぶのはどんな時?
さて、国内輸送におけるチャーター便に話を移します。
物流業界でチャーター便とは、”特定の荷主の商品をトラック1台単位で契約して運配送を行う方法” のことを指します。
費用が高いイメージがありますが、大量の商品を1度に運ぶ場合、つまり積載効率次第ではコストを抑えられる場合があります。また日時を細かく指定することが出来るというメリットがあります。
対比されるサービス形態としては混在便があります。複数の荷主が共同で1つのトラックを使用し荷物を運ぶ為、安価な利用料金で運べます。しかし、複数の荷物を1つ1つの目的地に運ぶため時間がかかってしまうことや、荷物の細かい日時指定が出来ないというデメリットもあります。
倉庫から倉庫への移送を行う際には、それぞれのメリット・デメリットを考慮しチャーター便と混合便を使い分けています。
チャーター便で更なるコスト削減を実現するために空き車両を活用できるサービスを取り入れることも重要です。
パンダたちのこれから
チャーターで中国入りしたパンダたち
私の大好きなパンダたちについても、もう少しお話しさせてください(笑)。
シャンシャンと同時期に中国に渡ったパンダは他にもいます。和歌山県のアドベンチャーワールドから、飼育下での自然交配による繁殖では世界最高齢の記録を持つ永明(えいめい)、その娘で双子の桜浜(おうひん)、桃浜(とうひん)の3頭がチャーター機で中国に入りました。
それぞれのパンダは中国国内の研究保護施設に移送され新生活を送っているようです。
そして現在(2023年春)も、上野動物園にはシャンシャンの妹弟にあたる双子パンダのレイレイ、シャオシャオとその父母であるリーリー、シンシンの4頭が。また、和歌山県のアドベンチャーワールドには永明のパートナーの良浜(らうひん)、その娘たち結浜(ゆいひん)、彩浜(さいひん)、楓浜(ふうひん)の4頭が暮らしています。
しかし、オスのパンダが不在となった和歌山ではパートナー候補を迎えるかもしれません。その時は無事に輸送されますように!まだ見ぬパンダに会えるのを心待ちにしています!!