物流コスト削減方法は?目指すべきは “最適化”
消費者に商品が届くまでのコスト
物流にかかる費用の考え方
近年、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの利用など、オンラインを介した消費は増加し続けています。気軽に安価に迅速に欲しいものが手に入るECサイトですが、運営には様々なコストがかかっているのをご存じでしょうか。
EC事業にかかる費用の内訳は、サイト制作費や運営費のみならず、物流コストがその多くを占めます。運送費に加え、倉庫内における人件費、保管費、システム費などの物流費用が発生するのです。
そのコスト、適正ですか?
商品を消費者の手元に届けるまでのコストは、商品の大きさや性質、保管方法などによって様々です。そのため物流コストは、単純に削減することだけを検討するのは危険です。コスト構造を正確に理解した上で、単なる削減ではなく最適化を検討するべきです。
まずは、自社の商品に適した物流工程なのかを細かく見ていくことが重要です。商品の性質や出荷量によって、適した物流倉庫環境は異なります。その商品にとって、何が必要かもしくは不要かを見極めることで、物流コストの最適化を実現できます。
出荷するためのコスト構造
最も負担になる費用とは?
ひと月に数千件、数万件を出荷するとなると、ある程度の規模で体制を組み、組織的に出荷作業をする必要があります。そしてそれには多大なコストがかかります。
物流にかかるコストは、大きく分けて、 配送費 、人件費、設備費、資材費、システム費です。その中でも、物流倉庫内で多くを占めるのが、人件費です。この人件費を減らすことに注力する企業も多いでしょう。人件費の削減を実現する一方で品質を担保するために、近年倉庫内の様々な作業がシステム化されています。
システムは必要か?
倉庫管理システム(WMS)にかかる費用とメリット
人件費削減と品質の担保を実現する倉庫管理システムは、導入費用と維持費用に多大なコストがかかります。一般的にWMSと言われるものは、導入に数十万、数百万単位で費用がかかります。
一方で導入により、下記のような効果も期待できます。
- 人為的ミスの削減
- 業務の効率化・標準化
- 在庫管理のリアルタイム可視化
- ロケーション管理の容易化
このように、導入効果の高い倉庫管理システムは多くの企業が導入し利用されています。
システムを利用しない倉庫作業とは?
では、すべてのEC事業者にとって、倉庫管理システム(WMS)は必要なのでしょうか。導入に多大なコストがかかるシステムは、商品の性質や出荷量によって必ず利用すべきとは言えないのではないでしょうか。
出荷量や期間、商品の特性によっては、システム利用しない選択をする企業もあると思います。システムを利用せず、アナログな方法で在庫管理と入出荷管理をすることも可能です。
【システム非導入の事例】
①入荷工程
倉庫に届いた商材を検品した後、外箱に箱番号を記載した札を貼ります。※“箱番号” とは “入荷した日付+商品のアルファベットの頭文字”
Excelに箱番号と在庫数量を入力します。個体管理が必要な商品の場合は、現物から個体管理番号を取得し、Excelの箱番号と個体管理番号を紐づけしておきます。このようにExcelなどのファイルを用いて、いつどの個体管理番号の商材が入ってきたか管理することが可能です。
②出荷工程
出荷の際は先入れ先出しのルール(古いものから出荷)があります。Excelで最新の日付の箱番号を確認し、該当の箱から出荷作業をします。
出荷完了後は、出荷した箱番号をExcelの管理簿から削除し未決管理を行います。
このように、出荷量によってはシステム利用をせずに倉庫管理を行うことも可能です。
倉庫管理システム(WMS)の比較
低コストで利用できるシステムはあるのか?
先述のように、システムを利用せずにアナログ手法での倉庫管理も可能ではあります。出荷量に応じて、システムを利用しないことも選択肢の一つです。
しかし、倉庫管理システムにも低コストで導入できるものがあるのはご存知ですか。倉庫管理システムには、オンプレミス型・パッケージソフト型・クラウド型 の3つの種類があります。
種類 |
費用 |
メリット |
デメリット |
オンプレミス型 |
高額一括払い 数十万~数百万 |
・要件に応じたカスタマイズが可能 ・セキュリティの精度が高い |
・導入費用が高額 ・社員教育に時間がかかる |
|
一括支払い+更新料 数万円~ |
・手軽に導入できる種類が多い ・価格や機能から最適なものを選びやすい |
・カスタマイズ性に欠ける ・機能が限定的、アップデート費用がかかる |
クラウド型 |
月払い
数千円~数万円
|
・初期コストがかからない ・スペックアップ/ダウンが容易 |
・カスタマイズ性にやや欠ける ・インターネット環境に依存する |
自社に合ったシステム選びを
パッケージソフト型やクラウド型であれば、低コストで利用できるシステムもあります。とくにクラウド型は、月額のランニングコストがかかるものの初期コストの負担が無く導入しやすいといえるでしょう。一方で、オンプレミス型は、導入費用の負担はあるものの自社運用に応じた最適な機能を組み込むことが可能です。
自社の商材の特性や出荷量、組織体制などを踏まえ、システム利用が必要なのか否か、システムが必要であればどのようなものが運用に適しているのかを見極めていかなければなりません。
単に安価なシステムや、低コストなスキームを追求するのではなく、どの方法を選択すれば最適化が実現できるのかを検討すべきでしょう。
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