WMSだけじゃない!最適な物流倉庫システムとは?|物流DX
物流業界を取り巻く環境は、人手不足や燃料の高騰など厳しい状況です。そんな中、物流の機械化・デジタル(DX)化による既存のオペレーション改善や働き方の改革の実現などが求められています。
今回はECワンストップセンター北柏(フルフィルメントセンター)で、WMSの運用保守や機能改修の提案と実装を担当されている、牛込さんに物流倉庫におけるシステムについて語っていただきました。
EC物流倉庫に適した倉庫管理システムとは
目的や用途にあったツール選びが重要
早速、物流の話から外れますが、私は趣味で自転車のロードバイクに乗っています。
自転車にはママチャリ(電動もあり)、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイクなど多数の種類があります。
その中でも、ママチャリの万能感は他を圧倒していると思っています。カゴもあるし電動機能もある。子供用の椅子も装着可能!
20代後半に京都一人旅をした時に、電動ママチャリをレンタルし、伏見稲荷大社~嵐山~貴船神社と朝から夕方まで移動しました。高低差も気にならず、お土産をカゴに入れながら縦横無尽に走りまわった記憶があります。
30代に入ってからは、趣味としてクロスバイクを嗜んだ後、ロードバイクに乗るようになりました。加速感や最高速度、走った後のお風呂(銭湯)の心地よさは最高です。
朝、自宅がある八千代を出発し、昼には浅草に到着、そこから移動して夕方には南船橋の銭湯で癒される。その後帰宅するもお土産がなくて(カゴがないから買えず)、妻から怒られるなんてこともあります。
爽快感のある速度を楽しみながら走れるのは、走る事に特化したロードバイクが一番だと思います。
以降は、旅先のレンタル自転車ではロードバイクやクロスバイクがあるか確認するようになりました。せっかく自転車に乗るのであれば、適度な速度を守った上ですが、スピード感、爽快感を感じたいという目的がはっきりしてきたからです。
話を今回のテーマに戻しますが、物流DXや機械化が進む中、それを管理制御するシステムも目指すべきは多機能化ではなく、得意な分野やプロセスに合ったマテハンやシステムを使い分ける必要性があるのではと思います。
システムや機械を使い分けるために必要な事
物流改善活動の具体的な策とは
物流業界全体でDX化や機械化が推進されていますが、それに向けた改善活動には、多くの手段が存在します。
例えば、トランスコスモスで進めている改善活動には、標準化をはじめとした下記の物があります。システムの切り分け、使い分けの判断にも大きく関係しています。
標準化(Standardization)業務プロセスを統一して、同一作業の自動化や機械協働化をしていく事。
専門化(Specialization) 標準化が難しい作業は、別ラインや特別な作業場などを用意するなどして専業化する事。※オプションに該当。例としては、時計のバンド詰め、ギフト加工、シャンプーなどのセット組など
- 簡素化(Simplification) ウォークスルーを行い庫内の整理を実施したり、工程の見直しを実施して単純化する事。
そして、動画付のマニュアルを作成するなどして、業務の可視化をすすめることで、上記の3Sを促進しています。
物流倉庫におけるシステムの種類
システムの最適解とは
抱えている課題や目的にあったシステムの導入や改修をしていく事には、情報収集も非常に重要な活動です。常に情報をアップデートし、最適なシステムを探求していくこともシステム担当としてのミッションだと思っています。
以下は今日現在、トランスコスモスで利用しているシステムツールの種類です。
得意分野ごとに分ける事で効果を最大限に引き出す事を目的としています。
- WMS(Warehouse Management System)各物流拠点における作業と物の出入を管理する為のシステム
- WCS(Warehouse Control System) 倉庫内のマテハン機器やIot機器を制御する為のシステム
- WES(Warehouse Execution System) 倉庫内のメンバーの作業状況の可視化など運用を管理する為のシステム
WMS、WCS、WESの必要性
WMS、WCS、WESはすべて、倉庫管理システムです。これらのシステムは、倉庫内の作業効率や生産性向上に繋がります。なぜ、3つのシステムが必要かというと、各システムが管理する対象が異なるからです。
WMSは倉庫内の商品の流れを管理するシステムです。つまり、管理対象は「モノ」のみです。物流倉庫内のモノの流れ(入出庫や在庫管理)を管理します。
それに対して、WCSは物流倉庫内の「設備」を制御するシステムです。設備とは、マテハンや、仕分けシステム、ロボットアームなど、倉庫内におけるIot機器のことを指します。
つまり、WMS、WCSだけではモノと設備をそれぞれ管理・制御できますが、一連の作業の流れで管理することは難しい上、実際に作業する人の管理はできません。そこで、WESというシステムが必要になるのです。
WESは、倉庫内の「ヒト、モノ、設備」を管理するためのシステムです。つまり、倉庫内の人やモノ、機器が効率良く動くように総合的に制御することができるのです。
倉庫管理に課題があればシステムのアップデートが重要
ECワンストップセンター北柏(フルフィルメントセンター)では、去年の秋にWMSのアップデートを実施しました。アップデート後のWMSは、それまで以上に処理速度が安定し、全体の作業速度向上に繋がりました。
今後も、ECワンストップセンターの環境改善はもちろのこと、お客様企業が抱えるEC物流の課題と向き合い、さらなるシステムアップデートに繋げていければと思います。
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