ウィズコロナ/アフターコロナ ーニューノーマルからノーマルへー
コロナによって世の中の常識が変わりました。中でも、リモートワークの普及により、働き方は大きく変化したといえるでしょう。オンラインでのコミュニケーションが当たり前になった今、重要なのはボランチというポジションではないでしょうか。ボランチとはポルトガル語で「ハンドル」や「舵取り」を意味する言葉です。
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ニューノーマル時代
コロナ禍で変化した常識
ニューノーマルとは、「社会に大きな変化が発生し、以前とは同じ姿に戻ることができずに新たな常識が定着すること」
新型コロナウイルス感染症の流行がまさにそれで、過去でいえばインターネットの普及やリーマンショックによるものが挙げられるそうです。
2018年に働き方改革関連法が可決され、ゆっくりと私たちが働き方を見直し始めた頃、このパンデミックにより追い打ちをかけられ、働き方のみならず生活まで見直さなければならなくなりました。
高まるDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性
近年では当たり前のように耳にするようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉。DXとはデジタル技術を活用しビジネスモデルや業務に変革を起こすことを指します。新型コロナウイルス感染症の流行によってテレワークやWEB会議が増加し、新しい生活様式に対応する顧客も増えました。そのような変化に臨機応変に対応するためにDXの重要性が高まっています。
ニューノーマルがノーマル(正常)化してきた今、働き方をさらに見直さなければならない、更には今までの【既成概念】を捨て、様々な状況に対応する力が必要と考えます。
リモートワークで見えてきた課題
オンラインコミュニケーションのデメリット
課題① 会議の増加
トランスコスモスでは、社内では対面での会議が禁止となり、すべてオンラインでの実施になりました。オンラインで実施できる便利さはあるものの、気軽に話しかけるということができず、些細な確認事項までもオンラインでのやり取りとなりました。チャットやメール文だけでは細かいニュアンスが伝わりにくいこともあるため、分刻みでオンライン会議が実施されるなんて言うこともありました。
課題② 在宅環境やツールによるコミュニケーションロス
リモート環境により作業の依頼や確認など、チャット上でのやり取りが増えました。
毎日多くの作業依頼や確認がチャット上で埋もれてしまい、作業が漏れてしまったり、返答に遅れてしまう事などがありました。
内容の優先度や、依頼するほどの内容ではないものまでが指示されることにより、トラブルやヒヤリハット、稼働工数の増加にもつながっていた状況です。
また互いの温度感やリアクションが文面では読み取れない為、ストレスも多少なりともありました。
ボランチというポジション
必要とされる折衝スキル
コロナが5類感染症に移行した今、対面での会議や直接やり取りする機会が多くなりつつあります。しかしながら、オンラインでのコミュニケーションも継続して活用すべき時代です。また、あらゆる業務において、DX化を進めていくことが求められています。
その一つとして、私たちはクラウドアプリを導入することにより改善していくことを検討しています。このツールは、社内関連部署で共通して使えるツールでなければなりません。そのためには部門を跨いでツールの適応性や利便性のテストをして導入の可否を判断することが求められます。
また、私たちのようなフルフィルメントサービスの支援企業は、お客様企業の事業方針をしっかりと理解した上で、ECコンサルタントとして運用改善や課題解決の方法をご提案しなければなりません。その中で、配送費や資材費、人件費が高騰による『値上げ』に対して荷主様と物流倉庫の双方の課題に対して調整をしていく必要があります。
今までの当たり前である【既成概念】を捨ててさまざまな状況に対応する力、今後も状況が刻々と変化していく(VUCA)時代が予測されるため、不測の事態に備え新しい価値観を作っていく力が必要です。そんな中で重要なのが、ボランチというポジションです。
役割と求められる動き
フットボール(俗に言うサッカー)用語ではチームをコントロールするポジションを指します。
フィールドの中心より低い位置にポジションを取り、試合全体を見て攻守両面でゲームをコントロールする役割になります。攻撃時は起点となり攻撃を組み立てる、守備時はバイタルエリア(ゴール前)を使わせないディフェンスを要求されます。
途中から試合に出場し、ガラッと展開を変えてしまうほどの力を持つ選手もいます。遠藤保仁選手(現ジュビロ磐田)や長谷部誠選手(現フランクフルト)といえば、イメージしやすいですかね。
現日本代表監督の森保一監督もそうです。私は特にアンドレア・ピルロ選手や大谷秀和選手(元柏レイソル)が好きです。
話が逸れそうなのでフットボールの話はここまでとして、何を伝えたいかというと、仕事に置き換えてボランチとしてのポジションを取り、荷主、倉庫、エンドユーザーの立場になり、現場をコントロールしていくことが重要ではないでしょうか。
今後の物流業界を支える人材とは
これからの物流現場に重要なスキルと思考
先にも述べたように物流現場では人員不足、人件費・資材費の高騰などが課題となっています。
特に人員不足と人件費に関しては自動化を進めていく事である程度の解決はできると思いますが、物流のデジタル化が進まない現場も少なくないと思います。
必要性を感じてはいるものの、ITの分野に詳しい人材が不足していることや、そもそも自動化と言っても自分の倉庫に必要なのか、何が適しているのかを見極めるなど多くの課題があります。倉庫側が荷主のニーズを満たす為に自動化が容易ではない構造であったり、そもそも自動化に向いていない商材であったり、利便性と効率化のバランスが良くないなど、倉庫と荷主の特徴を理解しなければ、導入したところで使いこなせない、また荷主側の要望、期待に応えられないというケースもでてくると思います。
今後、「物流DX人材」として、倉庫の機能を理解しつつ、荷主の要望を要件化して、オペレーションに落としこめるスキルが、求められると考えます。物流というチームのボランチとして、私自身もっとブラッシュアップしていかなければならないなと日々痛感しています。
最後に、物流DXにご興味をお持ちの方におススメの一冊をご紹介します。
「物流現場の最適化DX 」著 岡澤一弘、西尾浩紀