通販エキスパート検定フルフィルメントCXとは? | 受験体験談
2023年4月より、通販エキスパート検定に新しい試験科目、フルフィルメントCXが導入されました。通販エキスパート協会が主催する通販エキスパート検定の新しい科目です。「体験価値向上の視点で捉え直し、マーケティング活動とも連携した、新しいフルフィルメント部門の姿」の学習を目的としています。今回のブログでは、6月にこの資格を取得したメンバーの感想をご紹介します。
フルフィルメントCX受験の動機
トランスコスモスではECワンストップサービス(フルフィルメントサービス)というEC関連業務をワンストップでまるっとお受けするサービスを提供しております。
私はロジスティクスの側面よりサービスに携わっております。日々、領域の広いサービスに携わるため、EC全般について、とりわけフルフィルメント業務についての理解をより深めたいと感じておりました。
なかでも下記2点において課題感を強く持っていました。
- ロジスティクス以外のEC業務についての理解が必要であること
- フルフィルメントとしてロジ領域に期待される役割とは何か体系的に学ぶ必要があること
そんなことを思っている中でフルフィルメントをテーマにした資格を社内で紹介されたことで勉強を開始しました。
通販エキスパート検定フルフィルメントCX の内容とは
「フルフィルメントCX」は通販エキスパート協会が管理運営を実施している民間の資格です。
EC通販における各部門の「つながり」を大きなテーマに据えています。
根底にある考え方は、「マーケティング部門にはフルフィルメントの感覚を、フルフィルメント部門にはマーケティングの感覚を」(出展:通販エキスパート検定フルフィルメントCXテキスト)というメッセージが具体的にテキストに記載されております。
展開される5つのテーマと章ごとの所感
検定は、”つながり” という大きなテーマとメッセージについて、5つのテーマ(領域)とまとめを加えた全6章で展開される内容です。各章ごとの学びを通して、私なりの気づきがありました。
1. マーケティング
前職のEC事業立ち上げの経験もあり、基本的に自分の知識と相違ないことを改めて確認できました。
2. 物流センター
フルフィルメント全体を通して、物流に期待される役割が言語化されているため、明確に捉えることができました。
3.コールセンター
検定を通じてフルフィルメントの中核を担うハブ機能が期待される部門であることを認識しました。
4. 債権管理
以前はとくに意識する領域ではありませんでしたが、確実に回収される前提でなければ事業自体が揺らいでしまう危機がある、重要な役割であることを理解しました。
5. 情報システム
EC業務では複数のツールが連携されることが多いため、つなぎ目を意識して横断的に検討することが出来ることが付加価値の創造につながると感じました。
フルフィルメントCXの学びから得た気づき
ECで求められるアクション・チェーンマネジメント
個人的に納得感が高かった内容は、実店舗で採用される ”サプライ・チェーンマネジメント" の考え方をECに当てはめることは最適ではないということです。なぜならば、店頭の動きをトリガーとして行動に移すためにECでのアクションが遅くなるという点でした。
そのためECには "アクション・チェーンマネジメント" という考え方がフィットするという主張について、前職でEC事業立ち上げの際に漠然と感じていたSCM(サプライチェーン・マネジメント)への違和感がクリアになりました。
アクション・チェーンマネジメントとは
サプライ・チェーンマネジメントが原材料調達から消費者に渡るまでの ”プロセス” において、モノ、お金、情報の流れの全体最適を図る取り組みに対し、アクション・チェーンマネジメントは、”アクション”を起点としたモノ、お金、情報を連携することにより全体最適を実現する取り組みです。
BtoBとBtoCの違い
実は過去に苦い経験をしたことがあるんです。前に少しふれましたが、前職ではEC事業の立ち上げに携わっておりました。店舗向けのシェアが大半をしめる商材のEC展開を計画しました。計画の際には、実店舗と商品等の足並みを揃える必要がありました。そのため実店舗の動向を踏まえて動かなければならず、動きが遅くなり機会損失が発生しておりました。
また、実店舗販売のために商品を卸すBtoBと、ECで消費者に販売するBtoC(DtoC)では販売手法も異なります。さらにいえば、BtoBの先に存在する消費者と、ECで繋がった消費者では、購買行動に違いがあります。ぼんやりと分かってはいながらも、そこに対して個別のアクションができずにいました。今回の勉強を通じて、明文化されることで体系的に理解できました。
物流部門の可能性
私が所属する物流センター部門も、消費者とのタッチポイントにもなり得ます。
そのため、カスタマージャーニーの "付加価値の創造" に関して、"コミュニケーション" の部分で貢献できる可能性をまだまだ秘めていることについても再認識しました。
EC事業の成長に求められる専門性
メンバーのスキルアップがCX向上を実現する
トランスコスモスでは、各メンバーがスキルアップするための個人目標を設定しています。資格取得もその一環ですが、向上意欲の高いメンバーが各サービスを運営しています。
専門性を高めて各サービスの競争力を高めるだけでなく、各部署が "つながり" を強化してサービスをブラッシュアップしていく取り組みも進んでおります。
一方で、"つながり" 自体の定義は若干あいまいに感じております(テキストにはアクションチェーンマネジメントの実践を到達レベルとした目安はあります)。そのため定量的な比較を実感するのは難易度が高そうです。
例えばですが、ある日突然各部署間の繋がりを失った場合、メンバーは大きなストレスを感じることが想像できます。その時初めて、それまでの状態がうまくいっていたことに気付くなんていうこともあるかもしれません。
"失ってはじめて気付く健康の大事さ" の様にならないために 、"つながり" の定義と重要性についてメンバー全員で共通認識を持つことが必要だと思いました。